夢見る大学生活
最近のカズキはかなりおしゃれに気を配るようになった。塾の講師というアルバイトをはじめたことも関係しているのかもしれないが、先日も、私が仕事から帰るといきなり、
「ねぇ、これ買って来たんだけどさ、どう?」
と、シンジのように、ビックオフのお年玉セールで購入したストライプのこげ茶色のジーパンをリビングのストーブの前ではいたかと思いきや、
「これだったらさ、ピンクもワイシャツも合うし・・・」
え、(-_-;)このクソ寒いのに、今着た上着を、また脱いでるよ・・・
「このボーダーのセーターも合うでしょ!」
シンジのように、ファッションショーをしはじめた。
コタツに入って勉強に集中していたシンジ・・・ふとカズキを見上げ
「何が似合うだよ!オマエ、オレのばっかでコーディネートしてんじゃねーよ!」
「いいじゃねぇかよぉ。タイツ貸してやってんだからよぉ」
彼らのいう「タイツ」とは私たちの世代のジジシタである。最近は、ダーリンのヌクヌクジジシタもはくようになった。格好悪いではなく
「冷えたら体に悪いし、ウォームビズだよね」
ということで、かなり愛用度は高い。こうして、我が家のリビングは朝晩、欽ちゃんの仮想大会の楽屋裏のごとく、五本指の靴下を履いた黒や肌色のタイツ(旧ジジシタ)姿の男の子たちが、走り回っているのである。
ふーむ・・・おおよそ、ファッションセンス抜群のシンジからは想像がつかない光景だ・・・しかし、シンジにはもう彼女がいるからいいものの、心配なのはカズキである。
そのカズキも、大学合格判定Aをもらってから、最近はすでに大学に合格したかのように余裕がでてきた。
「大学にいったら、かわいい娘、いるかなぁ♪」
などと、鼻歌を歌いながら、大学のパンフレットなどを見ている。そのカズキがいない夕飯時・・・
「はぁ・・・べつにいいんだけどさぁ。理系の模試って、ブス率100%なのはなんでだろう・・・ひとりでもマシな子がいれば、疲れも半分になると思うんだよなぁ」
T工大の模試をうけてきたシンジがため息まじりにつぶやいた。
私:「え・・・(-_-;)そ、そうなの?」
シンジ:「男子も、変わり者かオタクっぽいやつが多いしさ、女子なんて少ねぇうえに、女子じゃねぇみたいなヤツばっかなんだよなぁ」
あんなに、カズキは夢見ているのに・・・
オサム:「理系ってさ、カズキ兄ちゃんも理系になるの」
シンジ:「そりゃ、アイツも理系だろうが」
オサム:「じゃ、かわいい子、いねぇの?」
シンジ:「あぁ、オサムも、大学生活を夢見るなら、法学部とか経済部とか、文系に行け。オレは、別に彼女いるからいいけどさ。理系に行くなら勉強しに行くって覚悟しなきゃだめだぞ」
オサム:「大学には彼女みつけにいくわけじゃねぇだろうが!」
シンジ:「あたりめぇだろ。オレは勉強しにいくから関係ねぇよ」
でも、はやり張り合いというものがあるのだろう・・・彼女もいるし、大学には勉強しにいくと決めている。しかし・・・
シンジ:「カズキも気づけよなぁ・・・アイツの行く学部なんて、女子が2%ぐらいしかいねぇんだからよ。模試受けてりゃ、大学で可愛い子がいる生活なんてできねぇことぐらい分かりそうなものだけどなぁ」
私:「まぁ、大学に行ったら、サークルとかコンパとかで、他の大学生と知り合うことも多くなるしね・・・(^^ゞだ、大丈夫じゃない?」
シンジ:「カズキの場合さ、時間かけねぇと、良さが出にくいから、日常生活が一緒じゃねぇと彼女も出来にくいと思うんだよなぁ」
オサム:「じゃ、絶望的じゃん・・・」
シンジ:「ま、希望は捨てちゃいけねぇ。ただ、楽観しすぎてもいけねぇ。大学は勉強しにいくところだからな!」
さて・・・模試の結果も順調で、もう半分大学には合格している気分のカズキ・・・
「大学に行ったら・・・♪」
今日も、オクチクチュクチュモンダミンも携帯し、夢見る大学生活でも着用予定のファッションで予備校に出かけ、
「彼女ができたときに困るでしょ!」
この言葉で、湯のみに牛乳を入れることもやめた。
彼女よ!いつでもカモーン!!フォー!!
の状態である。
現状を分かっているのか、それとも知らぬが仏で浮かれているのか・・・理系がぶち当たる女難の道をどう乗り切るか・・・彼にとっては、大学受験よりも難関かもしれない・・・
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