休日のデート
招待券を持っているという友人に連れられ、前から気になっていた有楽町の相田みつを美術館に行く機会を得た。
行きたいなぁと思っていてなかなか行けなかったNO1の場所である。
東京フォーラム内の立派な場所にある美術館で、正直驚いた。
そして、もっと驚いたことは、閉館前の館内が若いカップルでいっぱいだったことだ。
そんかとくか
人間のものさし
うそかまことか
佛さまの
ものさし
若いカップルが、手をつないで、じっと壁の詩を見入っている。CDから流れる相田さんの昔のお話を瞳を閉じている若者たち・・・思いもよらない光景だった。
どの詩も、私にとっては、胸のうちを見透かされているようで、
また、叱られているようで、見れば見るほど涙がでてきた。
いくつかの印象的な詩もあったが、なんといって私が心打たれたのは、相田さんが愛された観音様の写真だった。月光菩薩さまの写真とその横にある詩・・・
あなたの顔を見ていると
こころの中の
波がしずまる
ふと気になって案内係と思われる男性に
「相田さんが日ごろ眺めておられた観音様の写真は・・・これと似た写真だったのですか?」
とたずねてみた。すると、
「はい、父が毎晩寝る前に眺めていた写真を今回飾らせていただきました」
とおっしゃるではないか!
偶然にも、館長の息子さんだったのである。館長さんは、私が涙顔だったので心配されていたけれど
「いえ、自分の気持ちに素直になれて・・・なんだか涙が出てきただけですから・・・」
というと
「そうでしたか・・・ここに来られて、少しでもお心が安らかになっていただければ、きっと父も喜ぶと思います。本当にお越しいただき、ありがとうございます」
と、それこそ、仏様のような笑みで会釈をしてくださった。
あなたの顔を見ていると
こころの中の
波がしずまる・・・
それは、私にとって寝る前に見るとなりのオサムの寝顔であり、カズキやシンジの笑顔であり、彼らがコタツで転寝しているときの顔でもある。
しかられるようで
でも、癒されるようで
安心できる空間
あの美術館にはそれがある。私は、連れてきてくれた友人に心から感謝した。
なかでも、「うん」というという詩は、私をこれから支えてくれる詩となるだろう。
「ありがとね・・・」
「私、もう何度もきてるのよ。ここにくるとね、元気になれるのよね・・・きっと、ここの美術館を出る人は、みんないい顔してると思うよ」
彼女は、私がパンダになった目を修正しているのも、せかさず待ってくれていた。東京でひとりがんばって仕事をしている、どこから見てもバリバリの「できる女系」の女性。でもそれだけではなく、彼女の仕事には、いつも情というか、ビジネス+ハートがこもっている。そんな感じがしていた。その秘密を垣間見たような気がした。
さっそく、絵葉書や、観音様の詩集を購入して帰ると・・・ダーリンは携帯サイトで日めくり相田詩集配信の契約をし、コタツの上に置いていた観音様の詩集をオサムがじっと読んでいた。
今は分からないかもしれないけど・・・大人になったらまたジーンとくるよ。私は心中でそうつぶやいた。
でも、もしかしたら・・・オサムは私以上に詩集を受け止めているのかもしれない。雪を見て、全身全霊でワクワクできる気持ちをもっているということは、本当に「純真なココロ」を持っていることらしい。純真であるほど、言葉は波紋のようにココロに響く。
「だから、子供にかける言葉は、ホンモノじゃないといけないし、子供は、そういう言葉だと、受け入れるものですよ」
と、カウンセラーの先輩が教えてくださった。
世間にまみれてすれた私より、よほどオサムのほうが、相田さんの詩の意味を理解しているのかもしれない。
「ねぇ、今度美術館、行ってみようか」
私が誘うと、詩集を読んだまま
「うん・・・」
と、でも、確かに返事をしてくれた。そういえば、金子みすヾさんの展示会にも「行こうよ」ってオサムは私を誘ったよなぁ。ココロが純真な人のそばにいると、自分もときどきピュアだった昔を思い出すきっかけになる。オサムはまさに私にとってのココロのオアシスだ。
そんな彼が、10年後ぐらいに、あの美術館で、瞳を閉じて、時間を共有してくれるよう
な女性が、彼にも現れることを祈っている。
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