2006年6月15日 (木)

気分も見た目もイケてるオトコ?

最近、オサムの成長は、庭のアスパラガスに匹敵する。大きくなったねぇ・・・じゃなくて「ビュンビュン成長してる」という感じ・・・本人は夏終了までにあと5センチはいくと豪語している。

 喜ばしいことこの上ない。3人の中で一番大きくなりそうな予感・・・

 ということで、今年もやってまいりました。恐怖の衣替え。上から下まで総入れ替えでございます(-_-;)

 去年着ていたものは、まるで小人用のようにチンチクリン。パンツさえもピチピチ。靴も入らない。去年の四月にはダブダブだった学生服がちょうど良くなり、お兄ちゃんのお下がりの体操服や学ランもちょうど良くなった。

 「あのさぁ・・・短パンが、半パンだからよぉ。新しいの欲しいんだけど」

去年は膝下まであった短パンが、今は小学生よろしく膝小僧が丸見えの半ズボン状態。

 で、家庭にやさしいユニクロに今年もGO!オサム氏は、控えめに
「これがいいなぁ・・・」と、短パンをセレクト。

「また、こんなジジ色がえぇのぉ・・・(-_-;)」

オサムがセレクトする服はいつもジジ色のグレーか汚れの目立つ白。なんかもっと露を吹き飛ばすようなハデな色えらばんかい!!

と言いたくなる・・・その点、シンジと私の趣味はだいたい合うので非常に服を買うのも楽しい。

カズキもだいたい渋好みなのだが、「おっさん臭い!!」の一言で「じゃ、やめるべ・・・」となる。

ナメクジに塩、兄ちゃんにオッサン。である。

が、結局本人が着るのだから、納得がいくものの方がよいし、私は、服のコーディネートぐらいできるオトコになって欲しいので、

「今持ってるTシャツの色とか思い出していろいろ考えてみぃな」

と、自分がヨガ用品を見たいがために?もう一度、オサムに考えさすことにした。

「うん・・・」

「あ、それから、サッカー以外の普段着も買っていいよ」

「ヤッター!!」

さて、こうして、試着室に入り、気に入ったものを着てみて・・・

「どう?」

カーテンを開けると、そこにはポーズをとる筋肉マン・・・

なぜに、兄と全く同じポーズをするのか?

「そ、そのポーズ、流行ってんの?」

「え?なんで?」

「カズキと全くおなじポーズしてるよ・・・」

「マジで?テヘヘ・・・(^^ゞ・・・」

実は、数週間前に、ミスターユニクロことカズキとも夜、テニスをするとき用のポロシャツを買いに出かけたのだ。そのときも、

「ね!見て!」

と言う声に、試着室を開けたとたん、ボディービルよろしくポーズをとり、顔まで往年の岩城晃一っぽくきめたカズキがいたのだ。

血は争えない・・・それより、アンタラ、そのときに店員さんが前を通ったってこと知ってる?(-_-;)

と私は言いたかった・・・でも

「うん!うん!かっこえぇよん♪」

と、ちょっとヨイショ。

服を変えるだけで女の子が「押切もえ」ちゃんになった錯覚を起こすように、男の子もちょっと今までと違うおしゃれをすると「ベッカム」になったり「ブラピ」になったりするんだろうなぁ。

だから、どこから見ても「おサル」であっても、気分は「黒木瞳」よろしくスカートをはいてポーズをとっている私を、家ではほほえましく見守ってほしいのであります(^^ゞ

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2005年11月28日 (月)

宝の山

「1本50円!」この言葉に、キラリと目が光り、必殺仕事人よろしく、ノック式ボールペンを片手に

「やってやろうじゃねぇか!」

チャララーン♪

不適な笑みを浮かべたオサム氏、登場!!

実は、最近白髪が突然(そう感じるだけだろうか?)出てくるようになり、先日もこともあろうに昼休み、トイレで化粧直しをしているときに、1本頂上付近で白髪を発見し、格闘すること10分。
結局、休み時間が終わってしまった(-_-;)そして、成果物は無し・・・

なぜ、白髪はある日突然出てくるのか?

白髪が伸びるなんてウソだ!だって、いつも「昨日までなかった」ところで発見する。一夜にして黒から白に変わっている。

私の頭皮は、毎日プチ浦島太郎現象が起こっている・・・こうしてジワジワと、白髪の老女になっていくのか。

幸い、私は、多くて硬くて太い髪の毛なので、多少の白髪は抜いて撲滅したい。

それなのに、白髪は、誰も抜いてはくれない。美容師さんにも、懇願したが、美容師協会で、髭剃りと白髪抜きはしてはいけない。という既定でもあるのだろうか?絶対抜いてくれない(-_-;)

白髪抜きは、誰にも頼める仕事ではない。白髪抜きを頼む時点で、女としては失格。という意味があるのか、ダーリンは全くムシ。ダーリンと美容師がしてくれないとなると、この地球上、私の白髪は野放し状態になるしかない。

そこに、救世主、オサム氏登場である。私のころは1本1円が相場であった。それにしてはかなり高額だが、代わりをしてくれる人がいないから仕方がない。以前シンジも一度取ってくれたことがあるが、コタツの隣にいるとはいえ、大学受験の追い込みで物理問題を解いている彼に

「ねぇ、この辺に白髪があるはずなんだけどさぁ」

とは言いにくい。人ができないことをすると、報酬があがるとは、よくいったものだ。

「オレだけだろう、つい屁が出ても大丈夫、白髪が見えても大丈夫なのは」

「そうだね、マブダチ以上だね」

オナラと屁では屁の方が、我が家では罪が重いとされている。快腸な我が家ではあまり見られぬ光景であるが、オナラ(音あり)も屁(音なし)も私たち家族は人前でしない。しかし、年に何度か、予期せぬ来客のごとく誰もがしてしまう・・・

職場や学校なんかでそんなことをしようものなら、翌日から「呼ばれたくないニックネーム」がつくのが相場。しかし、家族なら「こいつ!」で終わる。

ダーリンに見られたら恥ずかしい数々の失敗を、オサムの前でやらかしている私としては、もうこれ以上彼の前でかく恥はない。もしかしたら、信頼度はダーリン以上かもしれない。

そんなオサムに我が頭を心からあずけ、床に座った私と、椅子の上から白髪撃退に励む彼は、体毛がはえていればおそらくサルの親子だろう・・・

「おし!見つけたぞ!」

ノック式ボールペンを使い、巧みに抜く彼の声が聞こえるたびに、うれしいような悲しいような、複雑な気分である・・・

「もしかしたら、サルもこうやって、ノミ1匹みつけたらリンゴ1欠とか、やってんのかなぁ」

「だろうな。あいつらも、賢いからな」

結局30分で450円ゲットしたオサム。時給換算すると今回はかなり良いが、15分がんばってもダメなときもあるので、まだこれぐらいの相場でいいだろう。これで小遣い帳に「白髪9本」の収入と記載されることになる。彼の小遣い帳を見れば、私の老いの速度が分かるわけか・・・

ガムやアメを買ったら、小遣いを稼ぐために必殺白髪人となるオサム。

「今日はいいよ。そんな毎日見つからないって!」

そ、そんな毎日見つかってほしくないんですけど・・・っていうか、まだそんなに見つかりません!!

「何言ってる!オレが反抗期になったら、白髪なんて抜いてやらねぇぞ。それまでに、根っこから取っておかないでどうするんだ!」

反抗期という私のアキレス腱を覚えた彼は、宝の山である私の頭皮に、仕事人の鋭いまなざしを向ける。
白髪はストレスが一番よくない。オサムが反抗期になったら白髪は増えるし、抜いてくれる人もいなくなるのか・・・寂しい・・・

仕事人に、スキあり!と見て取った私はすかさず、

「あーー!すごーい耳垢が見えてる~!」

「え?!マジ?」

「うん、大物だよ、こりゃ。ザリって言わない?」

「い、言ってねぇけど・・・気になるから取ってよ」

かくして、仕事人オサム氏は、私の膝の前に、今日は降参したのでありました。フフフ(^_-)-☆

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2005年8月 8日 (月)

オス・メスVS大人・子供

「キャー!!」
「どうした?」

「ゴ、ゴキブリ・・・」

暑さが続く日々、風呂上りのオサムに仕事が一段落した私は「かき氷」の提案をした。
「いいな、やろーぜ!」その矢先の出来事である。台所のシンクの上の小錦のような栄養満点のゴキちゃん、私の声に金縛りにあったのか身動きひとつしない。

「殺虫剤!殺虫剤!」
オサムが私に手渡した。
シューっ勢いよく発射すると、壁つたいに逃げる。
「どっかいったぞ・・・」
床マットをそっとどけると、また出てきた。

「ひえー!」
しかし、さっきの殺虫剤効果があったのか、それとももともとなのか、小錦ちゃん、よたりぎみである。
「お、おい、これで叩け!」
オサムが私のワンピースの裾をひっぱり新聞を渡した。

「やだよ、やってよ」
「お、オレだってやだよ。昆虫はダメだって言ってるだろ?」
「普通、こんなのは男がするもんでしょ!」

ダーリンは勤務時間が不規則なため、寝ているときは、起こさないのが家族の中での暗黙のルールだ。オサムもそれは分かっているらしく、父に助けを求めようとはしない。

「オ、オレ達だけでなんとかしないとな・・・」
「オレ達じゃなくて、オレでなんとかしてよ・・・」
「何だよ!子供を頼るなよ」
「子供だって男でしょ。子供とか大人以前の問題だよ!」
「子供が怖がってるんだぜ!」
「都合のいいときだけ、子供にならんとってよ。いつも子供扱いするなとか怒るくせに。まるで、都合の悪い時だけボケたフリする爺さんやんか」
「大人なんだから冷静に対処しろよ」
「なんで、大人がせなあかんのよ。こういうことはオスがするもんや!」
「だって、因数分解できるだろ。あんな難しいものができるんだから、ゴキブリなんてちょろいだろうが」

今朝、二次方程式でうなっていたオサムはとっさに、分けのわからないことを言い出した。

「ほな、因数分解できるようになったら、ゴキブリ退治してくれるん?」
「そ、そうだよ・・・」
「なら、10月以降は退治してくれるの?数検での勉強範囲やもん」

10月には試験がある。オサムが言う因数分解が解けるのが大人だとする、10月以降はオサムは大人へと脱皮して、今後はゴキブリも退治してくれて当然である。

「・・・え?・・ジャンケンするか・・?」

私たちがモタモタしている間に、なんと、腹を出してひっくり返っていたゴキちゃん、最後の力を振り絞って歩き出しているではないか!

「や、やばい!」

結局、ジャンケンして、勝った私が叩きつぶし、負けたオサムが、成仏したゴキちゃんをゴミバコに葬る役目となった。

もう、二人とも汗だくである。

放心状態で、立ち尽くしていたところに、騒ぎ声で起きたダーリンが二階から降りてきた。

「どうした?」
「・・・」
「つかれた・・・」

 シンジは、いつも宮本武蔵よろしく、新聞刀で蚊まで殺す。なぜに、オサムは・・・前世で昆虫の大群に襲われることでもあったのだろうか?

「まったく、ジェットコースターは怖くて乗れねぇ、ゴキブリは潰せねぇじゃ、彼女ができても逃げられちまうぞ。どーしよぅもねぇな・・・」
ダーリン、大きなため息をついていた。

 ま、完璧な男性なんていないから・・・でも、キャーってときに助けてくれるとポイントが上がるのは間違いない。やっぱ、キャーってときに馳せ参じるのが男でしょ。それには子供も大人も関係ない。と私は思うのでありますが・・・。

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2005年8月 4日 (木)

カラオケ

 我が家は毎年夏休みに伊豆に2泊3日の旅行に出かけいていた。子供達の楽しみは、海である。しかし、その他にも、ダーリンの保養所には、カラオケや卓球、マージャン室があり、とくにカラオケは5人もいるので、家族だけでも、職場でいうと課の宴会ぐらいは盛り上がる。

 カズキもシンジもうまい。彼らの好きな歌は、ミスターチルドレン・サザンオールスターズ・スピッツ・JUDY AND MARYなど、はやっているというより「詩がいい」ものが好きらしい。私たちの世代のものもかなり入っているので、いっしょに歌えて助かる。

 さて、オサムであるが、「歌える歌がねぇよ・・・」とモジモジしながらも「地上の星」「ヘッドライト・テールライト」など渋いセレクトで毎年歌っていた。去年は卒業式で歌っていた「桜~独唱~」もレパートリーに入り、皆から絶賛され、本人は非常にご満悦だった。

 今年は、受験生が2人もいるので、どうしようか迷ったが、「オレたちだって働いてるんだ。それにオサムもいるし、1日ぐらい、夏休みしたっていいだろう」とダーリンが言うので3人ででかけることにした。

 さて、毎年恒例のカラオケであるが、今年は3人とチト寂しい。しかしオサムは夕飯前から「カラオケはいつやるんだ?」と、かなりやる気を見せている。

 例年とは違うこの態度・・・始まってみると分かった・・・

なんと、ドンドン曲を入れるではないか!しかも、シンジが去年まで歌っていたミスチルの曲を次々入れる!まだ声変わりもしていないので、結構高い声も綺麗に出ている。

「いつのまに、そんなに覚えたん?」
「聞いてりゃ、覚えるよ。いっとくけど、別に練習なんかしてねぇよ・・・」

他にも青いベンチとかオレンジレンジの花など、難しい曲にチャレンジしている。しかも、うまい!いままでは、兄ちゃんたちがいるから、臆して歌えなかったのだろうか・・・?

 玉置浩二と吉川晃司が十八番のダーリンは、めずらしく「戦争を知らない子供達」を歌った。オサムがしきりと、戦争の体験談などを調べているからだろう。

「そんな曲しらねぇなぁ」

「戦争を知らない親」の世代と「戦争を知らない子供達」の歌も知らない世代・・・

 私の母方の家族は広島出身である。だから、私自身は戦争を知らなくても、よく戦争体験談は聞かされて育った。祖父はマニラから戦後1年経ち帰国、母達の家は、原爆ドームから300メートルほどのところにあり、見事に何もなくなってしまった。

何があっても、戦争はしてはいけない・・・祖母はよくそういった。母は3つのときに原爆投下後5日たった街を歩いている・・・母の学生時代の友人の子供は、私と同い年で、白血病になり、中学3年生で亡くなった。

自衛手段だとはいうが、「軍隊の無い、非戦闘地域」になれば、国連ではそういった地域を攻めることを禁じている・・・軍隊のいない島が唯一、アメリカ軍に襲われなかったという沖縄の歴史を知ると、尚のこと、軍を持って戦争を封じるという考えには賛同しかねる。

「戦争はだめだって、先生も言ってたよ」

私は安心した。幼いころから、自分が体験したわけでもないのに、固く思い続けることができているのは、学校教育と、戦争体験者の話を聞いていたからだろうと思う。人が人を武器で殺しあう世の中だけにはなってはいけない。それを褒め称えあうような世の中になってはいけない。

「今日は反戦メドレーでいくよ~」

私は、涙そうそうを歌った。

国があって、地方があって、地域があって、家庭があるんじゃない。ひとりひとりが寄り添いあって、家族ができて、家族が集まり地域ができる。寄り添いあって生きている家族の中の人が、表に出て集まり、組織をつくり社会ができ、経済が発展する。

家族が争っていては、そこから出てくる人たちが平和を考えるようになるわけがない・・・みんなのためを思って、経済を発展させようなんて思うような人財が現れるわけがない・・・
家族の柱は、私とダーリンなんだから、二人がいつも仲良くすることが大切だなぁ・・・

 たかがカラオケ されどカラオケ・・・しみじみとそんなことを考えながら、ブラウン管の涙そうそうの歌詞をメロディーにあわせて詠んだ。

オサムがいつか、愛する人と寄り添って暮らしていくようになり、平和の意味もこの歌詞の意味も噛み締めてくれるようになる日を願って・・・

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2005年7月25日 (月)

Let's study English(めざせ英検)

オサムが、英検をめざすことになった。英検5級というと、中学1年生で習う領域なので、それを中学1年の6月に受けようとすると「自習」が必要になる。かなりハードルは高い。

「中学1年では4級までとっておくと、高校受験の内審がよくなるからね」

横浜に住む中学2年の女の子、早紀ちゃんのお母さん、幸子さんは、スライスしたポテトを素揚げにしつつ、ニコニコしながら言った。英検や数検の賞状が飾ってある壁にもたれて、早紀ちゃんも、「そうだよ!」と無邪気に笑っている。オサムは、私の友達の家に行ったこのときの光景に、かなり衝撃を受けたようだ。帰りのバスの中で
「オレも英検やってみっかなー」
とぽつりと言った。これを逃す手はない!
「絶対できるって!オサムくんは賢いしね!大丈夫だよ!そしたら、お兄ちゃんよりすごいね!お兄ちゃんは中学2年でとったって言ってたもんね」

私は、ここで一気に決めようとばかり、「お兄ちゃん」という台詞をあえて出してみた。

これは、オサムのやる気ボタンのツボだ!

6歳年上の兄と7歳年上の兄の存在は、オサムにとっては大きな壁だ。幼いときから、いつもしいたげられていたからか?普段の生活の中では、兄の言うことは絶対なのだが、兄に勝つことはオサムにとっては将来の目標なのかもしれない。成績表を持って帰ったときも、しげしげと、兄の昔の成績表と自分のものを、秘かに比べていたことを私は知っている。高校も、兄よりレベルの高いところはどこだ?と偏差値を見比べていたことも知っている・・・

そして、兄がピアノを弾いているオサムに「お前、すげーな」と声をかけた後、一人でボソボソ「そっか、オレってすげーのか・・・」と何度もニヤニヤしていたことも知っている・・・
だから、「英検を6月に受けることはお兄ちゃんよりスゲーこと」だと感じたら、きっとやる気になるに違いない・・・と思ったのである。

 さて、次の日から、英検ダッシュが始まった。なにせ、4月に入ってから体育祭やなにかで、4月下旬なのに、まだ、学校ではハローとか、ギターなんかしかやっていない。しかし英検を受けるためには、6月にテキストを全部マスターしなければならないのだ!私は久々に中学の英語の教科書を開け、目が点になった。なんと、ABCの歌の次のページがいきなり、「Do you like soccer?」である。だいたい、英語の1ページ目といえば「This is a pen」じゃないの?これは、会話としての英語を重視するようになっている証だろう・・とはいうものの、やはり戸惑いは感じた。Lesson2はいきなりHow many・・・だ。文法的な法則なしにいきなり英語のシャワーとなると、とにかく聴くしかない。早紀ちゃんのおさがりのCDを聞きながら、オサムは独自にわけのわからないまま、CDの英語をウォークマンで聞いていた。

 効果はバツグンである。私がいうとモモは「ねくたー」だが、彼が言うと「ウェクトゥァー」という感じで、かなりRとLやTHはコテコテの千葉人とは思えない発音である。すばらしい!さてさて、では単語をどれぐらい覚えたか言ってみよーということで、夕飯の準備のときにソラマメをむきながら、

私:「りんごは?」
オサム:「エァポォウ」
私:「オレンジは?」
オサム:「ノォレンジ」
私:「じゃ、東は?」
オサム:「ウィーストッ」
私:「西は?」
オサム「ウィェストッ」
私:「南は?」
オサム:「オッキヌァーア(沖縄)」
私:「ん?」
オサム:「・・・・・?」

 彼は、ありゃりゃ・・・という照れ笑いを浮かべて「なんだったっけ・・・」と鞘から出したソラマメを手の上で転がしながら、ぼそっとつぶやいた。私は、あまりにもすばらしい発音が続いたあとだったので、「南=オッキヌァーア」に洗脳されてしまい、度忘れしてしまった・・・
「えっと・・・えっと・・・」
私の頭の中で、エデンの東がイーストオブエデンで、南十字星がサザンオールスターズだから・・・と和訳が急展開ではじまり、ようやく
「さうすだよ」
というと
「そうだ、ソゥウスだ」
彼は、ネイティブ発音で、見事に回答した。このままいけば、目も青くなるのではなかろうか? 私のオサムに対する期待はますます膨らんだ。

 しかも、これだけでは終わらない。強力な助っ人が現れた。それは大学受験を目指している、永遠のライバル、兄である。塾で中学生を教えるアルバイトをはじめようとしている長男のカズキに、
「塾と同じ時給はらうから、私が仕事でいないとき、英語教えてやってくれないかなぁ」
と、夕飯のときに頼むと
「金はいらねぇよ。オサム、分からなかったらいつでも俺の部屋へ来い。よし、するべ」
と、頼もしい返事をしてくれた。さらに、さっそく今日やろうと言うのだ。これにはオサムも、サッカーで疲れたとは言っていられない。

 さて、兄の手ほどきの英語がはじまった。

「とにかく、読むんだ。読んで、辞書ひけ」
これが兄の必勝勉強法らしい。教科書を二人で読んでいく。
「よし、オレがユミでお前がマイクだ」
英語を読んでは、日本語に訳す。

「I have aTV in my room・・・どういう意味だ?言ってみろ」
「私は部屋にテレビを持っています」
「そんなクソ面白くねぇ言い方しなくていいんだ。いつもお前が言ってるような言い方でいいべ」
「じゃ・・・オレは部屋にテレビあるぞ」
「おーそうだ!それで次も言ってみろ」
オサムが、少しリラックスした表情で、英文を読む。

「Do you have a TV?・・・お前、テレビ持ってるか?」
「よし、次はオレだな。Yes, I do.I have a CD player too. もち、持ってるわよ!CDプレーヤーだってあるのよ!」
坊主頭の18歳、中学生のユミになりきっている。

「Really・・・」
「お前、もっとマイクになれ!それじゃ日本人じゃねぇか。ガイジンマイクになって、驚け!」
「え・・・ガイジンマイクって・・・」
兄は、両肩をくすめて、眼を広げ
「Really!映画でよくこうやってるだろう。もっと、まじかよーって感情こめろ!感情こめて読むんだ。そうすれば頭に入ってくるんだ」
その後も、坊主頭のユミと、ハニカミ日本人マイクは、1時間以上、寸劇を行っていた。

 私は、笑いをこらえるのに必死だった。ただ面白いだけではない。兄の教え方の中で私が今後取り入れようと思ったことは、いつも勉強しているときに「俺らが知りたい単語は・・・」といった感じで、いつも主語が「お前」ではなく「俺たち」だったことだった。勉強は、「お前」一人でやっているのではなく、「俺たち」一緒にやっている。この姿勢は、これからも私は意識して取り入れていこうと思った。

オサムとカズキの英語の特訓

 兄の特訓もあり、オサムは無事合格した。受験生が2人もいる今年の我が家に「落ちる」とか、「すべる」は禁句である。オサムとて、そうなってもらっては困るのだ。9月に4級を目指すらしい。ガンバレ オサム!

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