憧れの車・・・ダーリンはポルシェ、オサムはゼット、シンジはプレジデント、そして長男のカズキは、
「オレはトラックがいいな♪荷台に誰か乗せて走りたいな。トトロみたいに、軽トラがいいなぁ」
一同唖然・・・
そんな素朴なカズキが、選んだバイクがなんと、プレスカブ。ラーメン屋の出前や、新聞屋の兄ちゃんが乗っているアレである。
「バイクといえば、カブだろ。カブ、かっこいいなぁ・・・」
予備校まで、バイクで通学したいという願いが叶って、ダーリンにバイクを買ってもらうことになり、ネットでカブをよく探していた。
「渋いしよぉ、第一、丈夫じゃん」
ネットオークションで紺のカブを買ってもらったカズキは、ご機嫌である。カブに乗るために、電車で5駅も向こうの、予備校まで4時間近くかけて、自転車で往復して道までチェック。初めて家に来た日は、何度も猫のプリンをイイコイイコするように、ナデナデしていた。
満面の笑みで運転しては、連日家族の誰かに言っている。
カズキ:「カブ、楽しいぞ!オマエも乗ってみてぇだろう?」
オサム:「・・・」
シンジ:「オレは、金がないからカブなのかと思ったら、そうじゃねぇんだな・・・」
オサム:「なにが、彼の心をそんなにひきつけるんだろう・・・」
家族全員が、縦線ストライプ顔で見守る中、さらになんと!
「ヘルメットと、ジャンパーいれる箱が欲しいな」
と、骨壷入れのような黒い鉄の箱をネットで探し出した。それを後ろに取り付けるらしい・・・
「これで、全部荷物も入るし、雨の日のカッパも入るよ。でも、高いなぁ・・・オークションでも5200円か・・・」
ダーリン:「オマエ!これをホントに後ろの荷台につけるのか?」
カズキ:「だって、丈夫だし、何でも入るよ。カッコイイじゃん」
出前ラーメン5人分は入りそうな、転んでも大丈夫そうな、タフな雰囲気をかもし出している箱ではあるが・・・
カズキ:「リカさんも、免許とったら乗っていいよ。買物したものが沢山はいるよ」
いや、遠慮しときます・・・それに乗るぐらいなら、軽自動車に乗ります。
カズキ:「しぶいよ!なぁ、オサム」
オサム:「・・・」
ダーリン:「オマエ、せっかく大学生になっても、そんなバイクにのってたら、彼女できねえぞ・・・」
カズキ:「・・・・」
あ、地雷を踏んだぞ・・・大丈夫なのか?カズキは、無言でそのまま、2階へ・・・
私:「あんなこと、言ってもいいの?」
ダーリン:「家族が言ってやらなきゃ。誰が教えてやるんだよ。オレは、心配してるんだ。リカだったら、あんなバイクに乗ってるやつを、彼氏にしたいか?」
うーん・・・少々価値観が違うかもしれん・・・でも、無理するより、その良さを分かってくれる女性が出てきたときに、いっしょになればえぇやんか。
オサム:「だってよぉ、デートが、新聞配達になっちまうじゃねぇか。カッコイイの基準が、ヘンだよなぁ・・・」
ダーリン:「あのままじゃ、一生彼女できねぇぞ」
新聞配達バイクに乗っているカズキの彼女になった女性は、デートするときは、助手席ではなく、トラックの荷台に載せられる可能性大・・・(-_-;)
確かに、彼の趣味は変わっている。でも、絵はとっても渋くていいものを描くんだけど。たとえば、旅行に行くときも、「部屋着」に胸に思いっきり名前が貼り付けてある「体操服&ジャージ」を持っていく。シンジなど
「アイツの近くにいたくない・・・」
と、完璧に、宿では「他人」の振りをしている。それでも、お構いなしで「おーい!シンジ!」と大声で呼ぶ・・・
服装などに構わないわけではないのだが、時々「カッコイイ」の基準が大幅に平均よりズレルのだ。建築家になりたいカズキ。彼のデザインする家ってどんなんだろう・・・
カブが、カズキの彼女作りを阻むかもしれない・・・これは由々しき問題だ。しかし、当の本人、やはりGone My Way
翌日には、ケロっとして、
「あの箱、ホントに、リカさんクリスマスプレゼントにしてくれるの?」
「いいよ・・・」
「やった~!!」
というわけで、カズキのクリスマスプレゼントに「黒い鉄の箱」を購入することになった私・・・。カズキの良さに共感してくえる女性が出現してくれることをイエス・キリストに祈るのみである。
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